はじめに
今回は、お客様のMerakiネットワーク運用を劇的に効率化する「Cisco Workflows」についてご紹介します。
日々の運用で発生する繰り返し作業や、複雑な設定変更に頭を悩ませていませんか?
Cisco Workflowsは、Merakiダッシュボードに統合された強力な自動化ツールとして、
これらの課題を解決し、お客様のネットワーク管理をよりスムーズにするためのものです。
まずは、Workflowsがどのように業務を変えるのか、実際の動画をご覧ください!
デモンストレーション
※お客様の環境設定、既存の統合システム、ネットワークポリシーなどによっては、動画で示された挙動と異なる場合があります。
本番環境への適用前には、必ずテスト環境での十分な検証と影響範囲の確認をお願いいたします。
予期せぬ問題が発生しないよう、慎重な導入計画を立てることが重要です。
1. タグにマッチするネットワークのファームウェアスケジュール設定
Exchange(プリセット) にてパブリックで公開されているWorkflow を用いてデモンストレーションを行います。
このWorkflow は、実行した管理者アカウントが属するオーガナイゼーションで任意のタグが付与されたネットワークのファームウェアスケジュールを一括で実行します。

デモンストレーション動画
※このWorkflow は、実行する管理者アカウントが属するすべてのオーガナイゼーションに対してアクションが実行されるため、
いずれかのオーガナイゼーションがライセンス違反で30日の猶予期間を迎え、シャットダウンしている場合は、実行に失敗します。
※オートメーションメニューの設定は、オーガナイゼーションごとに管理されます。
2. 定期的な再起動の実行
プリセットのものでは無く、自身でWorkflow を作成してスケジュール設定を行い、自動化を用いたデモンストレーションを行います。
このWorkflow は、複数のデバイスに対して再起動を定期的な間隔で実行します。
デモンストレーション動画
3. AI assistant を用いてWorkflow を実施
AI assistant を用いて、タグにマッチするネットワークのファームウェアスケジュールを実施するデモンストレーションを行います。
このWorkflow は、1 で実施したものと同じものです。
いかがでしたでしょうか? たった数クリックで、様々なアクションを完了する様子をご覧いただけたかと思います。
この自動化を実現するのが、Merakiダッシュボードに統合されたCisco Workflowsです。
ここからは、Workflowsのメリット、ご利用にあたっての要件、知っておくべき制限事項、
そして具体的な活用例を、ユーザーの皆様の視点に立って解説いたします。
Cisco Workflowsとは?
Cisco Workflowsは、お客様が日々ご利用されているMerakiダッシュボードに直接組み込まれた、クラウドホスト型の強力な自動化アプリケーションです。
タスクの自動化と運用の合理化を目的としており、様々なシステムやデータソースと連携する一連の活動を定義することができます。
これにより、複雑な操作を簡素化し、お客様の生産性向上を支援します。
Workflowsは、Ciscoが提唱するIT運用の未来「AgenticOps」の重要な要素であり、AIエージェントが自律的にネットワーク運用を推論、実行、最適化することを目指しています。
Workflowsは、ドラッグ&ドロップによるローコード/ノーコードの直感的なインターフェースを提供し、手動実行、スケジュール実行、外部トリガー(Webhook)による実行、さらにはCisco AI Assistantからの実行も可能です。
Cisco Workflowsのメリット
Cisco Workflowsを導入することで、Merakiユーザーの皆様は多岐にわたる恩恵を受けることができます。
- Merakiダッシュボードへの統合と追加ライセンスなし: お客様が使い慣れたMerakiダッシュボードから直接アクセスでき、追加ライセンスなしでご利用いただけます。
- タスクの簡素化と合理化: ITドメイン全体にわたる一般的なタスクを簡素化し、運用を合理化します。
- ヒューマンエラーの削減: 自動化を活用することで、手作業によるミスを大幅に減らし、安定した運用を実現します。
- 迅速なイベント調査: 事前に構築されたワークフローやカスタムワークフローを使用することで、機械のような速度でイベントを調査し、問題解決を加速します。
- 幅広いシステムとの統合: Meraki製品はもちろん、Catalyst Center、SD-WAN、Umbrella、ISE、ACI、Nexus Dashboard、IntersightといったCisco製品群、さらにはNetBox、ServiceNow、Jira、Webex、ThousandEyes、Ansible、Terraform、そして一般的なREST APIやSSHアダプターを持つあらゆるサードパーティシステムと連携可能です。これにより、Meraki環境を中心としたお客様のネットワーク全体を自動化の範囲に含めることができます。
- ローコード/ノーコードアプローチ: プログラミングの専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップで日常業務を自動化し、ネットワーク管理の複雑さを軽減できます。
- 一貫性と信頼性の向上: 自動化されたタスクにより、設定や運用の一貫性が保たれ、システムの信頼性が向上します。
- 生産性の向上: IT管理者とユーザー双方の生産性を高め、より戦略的な業務に集中できる時間を創出します。
- 運用コストの削減: 自動化により手作業が減り、運用コストの削減に貢献します。
- 実行ステップの完全な可視性: ワークフローの実行ステップ、変数、エラー追跡をライブで確認でき、トラブルシューティングも容易です。
- AI統合: Cisco AI Assistantが関連するワークフローを見つけ、実行を支援したり、AIによるデータ解析や適応的なアクションをワークフローに組み込むことも可能です。
- Gitリポジトリとの連携: GitHubとの連携により、ワークフローのバージョン管理とチームでのコラボレーションを可能にします。
- Workflows Exchange: サンプルワークフローのライブラリが提供されており、お客様のニーズに合った自動化を簡単に見つけ、そのまま実行したり、カスタマイズしたりできます。
Cisco Workflowsの最低要件
Cisco Workflowsはクラウドホスト型サービスであるため、特定のハードウェア要件はございませんが、ご利用にあたっての基本的な要件は以下の通りです。
- Merakiダッシュボードへのアクセス: Cisco Workflowsは、お客様がお使いのMerakiダッシュボードに直接統合されています。現在、米国、EU、APJCのデータセンターでホストされているMerakiアカウントでご利用いただけます。
- Merakiアカウント: Merakiデバイスをお持ちでないお客様でも、Merakiアカウントを作成するだけでWorkflowsにアクセスし、自動化の可能性を探ることができます。
- ワークフローの有効な状態: ワークフローは手動またはイベントによって実行されるためには、有効な状態である必要があります。変更を加えた場合は、実行前に検証が必要です。
Cisco Workflowsの制限事項
Workflowsを効果的にご利用いただくために、いくつかの設計上および実行上の制限事項がございます。
これらをご理解いただくことで、よりスムーズなワークフロー設計と運用が可能になります。
- 設計上の制限
- ワークフローの最大数: 500
- アトミック(最小単位のタスク)の最大数: 500
- ワークフロー変数の最大数: 100
- カスタム変数タイプ(配列、オブジェクト、テーブル)の最大数: 組織あたり合計200
- Large String変数の最大サイズ: 10MB
- String変数の最大サイズ: 1MB
- Table変数の最大サイズ: 1MB
- ワークフローアクション(全種類)の最大数: 200
- サブワークフローアクティビティの最大数: 30
- 実行時間に関する制限
- ワークフローあたりのループ実行合計最大数: 50,000回
- For EachまたはWhileループの最大反復回数: 500回
- ワークフローの最大実行時間: 30分
- これらの制限に達すると、ワークフローはworkflow_timeoutステータスで失敗します。
- API実行に関する制限
- Start APIのレート制限: 1分あたり20回
- Webhook APIのレート制限: 1分あたり20回
- その他の制限
- カレンダーの最大数: 100
- データタイプの最大数: 200
- 移行パス: 以前のWorkflows環境をご利用されていた場合、現在のMerakiダッシュボード組み込み環境への自動移行パスはございません。お手数ですが、手動での再作成をお願いいたします。
- カスタムHTTPターゲット: カスタムHTTPターゲットはインポート時にコピーされるため、意図しない動作を引き起こす可能性があり、ワークフローが複雑化する原因となる場合があります。
Cisco Workflowsのユースケース
Cisco Workflowsは、Meraki環境における多岐にわたるシナリオで活用できます。
- Merakiデバイスのプロビジョニングの簡素化
- SSIDまたはRFプロファイルの作成、変更作業
- タグに基づいて複数のMXネットワークにルールを展開
- タグに基づいて複数のオーガナイゼーションにファームウェアスケジュールを展開
- VLAN 設定の変更 など。
他にも多くのMeraki API 機能との連携が可能な為、多くのアイディアが考えられます。
Cisco Workflows コミュニティ も確認しましょう。
まとめ
Cisco Workflowsは、お客様のMerakiネットワーク運用をよりスマートに、より効率的にするための強力なツールです。
日々の煩雑な作業を自動化し、ヒューマンエラーを減らすことで、お客様は本来注力すべき戦略的な業務に集中できるようになります。
この記事での再現動画も、Workflowsの実際の動作をイメージするのに役立つはずです。
ぜひこのブログ記事と合わせてご参照いただき、Cisco Workflowsがもたらす自動化のメリットを最大限にご活用ください。
また、Exchange(プリセット) については、今後もより多くのプリセットが展開されますが、
お客様のアイディアも公開することが可能になります。よろしければ、ご検討ください。
詳細は、こちらのドキュメントをご参照ください。
参考ドキュメント
- AI-powered network automation
- Workflows GA: Welcome to the Future of AgenticOps
- Workflows Evolution FAQ
- Workflows
- Workflow_Best_Practices
- Run_Monitoring
- Authorship_Types
- Frequently_Asked_Questions