はじめに
クライアント端末のパフォーマンスに関する問題を切り分けるためには問題の発生箇所や影響範囲を正確に特定することが重要です。
この記事では、影響範囲を特定するための問診の進め方について解説します。
問診
**前提条件の整理**
- 有線接続でUSB NIC などを利用している場合、NIC の最大転送速度を確認。
(一部の USB-A または USB-C アダプターはUSB 2.0 を実行し、480Mbps が最大の場合があります。)
- 利用中のWAN 回線の速度を確認。
- MX を利用している場合、設定内容に応じた、デバイスの最大スループットをサイジングガイドまたは各モデルごとのデータシートで確認。
特にVPN を利用している場合、スループットがさらに低下することを考慮してください。
**初期診断**
- 事象の発生日時を記録。例 2024-03-15 10:00
- 発生頻度や再現性はあるか確認。
- 事象が発生してから継続時間を記録。
- 影響を受けたクライアント端末のMac アドレスを記録。
影響を受けていない端末がある場合は、それらのMACアドレスも記録。
- 事象が発生するデバイスの種類 (iOS、Windows)、ハードウェア (Macbook air、Lenovo X220)、およびドライバーの種類に共通点はあるか確認。
- 無線と有線、どちらに起因しているか確認。(例:MR接続時にのみ発生し、MX直結では発生しない。)
- VPN 経由の通信のみ影響があるか。L2, L3 間の拠点内通信でも事象が発生するか。
- 事象発生タイミングの傾向を確認(例:15 分ごとに発生する、15:00 頃によく見られる。)
- 対象までのICMP での遅延はどの程度であるか。
- パフォーマンス低下がすべてのトラフィックに影響しているか。
(例:TCP通信のみ問題があり、ICMPは問題なし。もし ICMPでも問題がある場合は、Tracerouteなどで経路を確認。)
被疑箇所が同一LAN 内であると想定される場合、以下の点を確認する。
- デュプレックスの不一致:設定の不一致が無いこと、コミュニティ記事を参考に物理的な切り分けを実施する。
- ケーブル不良または接触不良:コミュニティ記事を参考に物理的な切り分けを実施する。
- リンクの輻輳:利用可能な帯域を増やす、トラフィック シェービング ルールを適用して1ユーザ単位などで制御することは可能か。
- ファイアウォールが特定のトラフィックをブロックしている:FW の設定に誤りが無いか確認する。
- 経路上にて、MTU/MSS の問題がないか。パケットキャプチャを取得してフラグメンテーションが発生していないか。
- 事象発生日時付近にて設定や構成の変更はあったか。
- 特定のクライアント端末で発生するのか、それとも全体的に発生するのか。
特定の端末にて発生する場合は、無線ドライバー/USB NIC のアップデートなどを試して改善が見られるか。
- 事象発生時の利用クライアント端末数はどの程度か。
**追加の無線の診断**
- 事象が発生する特定のAP または SSID など特徴はあるか。
- 事象発生時のクライアント接続数はどの程度か。
- 悪天候、樹木の成長、新しく建てられた壁などの環境要因に変更はあるか。
- クライアントデバイスからAP までの距離はどの程度か。
- 信号対雑音比(SNR) の値は良好であるか。一般に、SNR 値が 20 dB 以上の信号はデータ ネットワークに推奨され、音声アプリケーションを使用するネットワークには 25 dB 以上の SNR 値が推奨されます。
- 干渉(無線、物理、電気)が発生していないか。
- 端末側でパフォーマンスの制限機能がないか。
追加リソース
https://community.meraki.com/t5/Meraki-サポートの記事/iPerf-を用いたスループット問題の特定とテスト/ba-p/270156
https://community.meraki.com/t5/Meraki-サポートの記事/ワイヤレススループットの計算とテスト/ba-p/268941